職場で何時も感じているのですが、事務系理系・若手ベテラン問わず、Microsoft Excel を使いこなせている人が少ないと感じています。
殆どの業務で Excel で資料を作っている割に、見た目を綺麗にして単なるワープロの代わりとか、ちょっと数式を入れる程度の使用に留まっています。
大量のデータを扱うとかになると他人任せ (それが自分に回ってくる)。ショートカットも殆ど使わず、マウス操作がメイン。
MS DOS で Lotus 123 を使い始めて表計算の便利さを実感した身としても、今の Microsoft Excel は更に別物の様に便利なツールです。昔は 65,535 行までしか扱えませんでしたが、今は 1,048,576 行まで扱えるだけでも、個人的には助かっています。
時短に繋がりますし、文房具の延長上の PC を活用する為にも、Excel を使いこなして欲しいと思っています。
ショートカットが便利
Excel はショートカットを自由に変更できません (裏技はあります) ので、お仕着せのショートカットを使わなければなりません。ショートカットには3種類あります。
- Ctrl や Shift と組み合わせて使用するもの
- Alt と組み合わせて使用するもの
- Menu キーと組み合わせて使用するもの
1つめの Ctrl 組み合わせて使うショートカットは、Windows 全体と合わせる形で決められています。Ctrl + C (コピー)、Ctrl + V (貼り付け) 等が一般的でしょう。Ctrl + ↑↓←→ も覚えると便利です。Shift と組み合わせて使用するショートカットも、データ整理の際には便利です。Shift + SPACE で行選択、Ctrl + SPACE で列選択 (私は Ctrl + Shift + SPACE に割り当てています) も良く使います。
2つめの Alt キーと組み合わせて使うショートカットは、Excel の上部のメニューと対応しています。Alt キーを押すと最近の Excel であれば上部のメニューにアルファベットが表示されます。それを順番に押す事で、マウスで選択していた内容がキーボードのみで完結します。コピーした CSV テキストを表に貼り付ける、テーブルの集計表を表示/非表示にする、テーブルの名前を変更するショートカットを良く使っています。
3つめの Menu キーと組み合わせて使うショートカットは、マウスの右クリックメニューに対応します。形式を選択して貼り付けも Menu キーとの組み合わせで選択できます。値で貼り付けは、私は Menu + V で行っています。
この3種類のショートカットを少しずつ覚えて、マウスを使用しなくても Excel を操作できるようになると、作業が非常に捗ります。
テーブルが便利
Excel のテーブルは単に色分けしているだけではありません。何方かといえば入れてあるデータをデータベース的に扱います。それ以上に便利なのは、行が増加した場合です。
- 数式が自動で追加されます。最初の行で一度数式を入れると、二行目移行は自動でコピーされます。セルの参照方法が変わる (A1 とか B2 ではない) ので、見た目上は同じ式が入っているように見えます。数式のコピーによる間違いが減ります。
- XLOOKUP 関数や SUMIFS 関数でテーブルのデータを参照すると、行が増加しても参照範囲が自動で広がります。これが一番便利な所です。グラフの範囲も自動で広がります。
- 集計行を追加でき、合計や平均を表示できます。追加した行も含められます。
デメリットはあまり感じませんが、唯一気になるのは「形式を選択して貼り付け」のショートカットが変わる事でしょうか。
通常は Menu -> S ですが、テーブルに貼り付ける場合には Menu -> S -> S と S を2回入力する必要があります。
1000倍するとか 1/1000 するとか、文字列を数値に直すとか、乗算除算を一括で行うような時に間違ったりします。元に戻せますが。
集計表ではなくデータの羅列の状態にする必要はありますが (集計表からはピボット解除で可能)、テーブルはメリットの多い機能です。数式の間違い・集計結果の間違いが格段に減ります。
スピルが便利
配列を返す関数が徐々に増えてきました。
最近は重複の削除は使わず sort & unique で済ませる事が多くなりました。データ元にテーブルを使用しておくと、行が増えても対応できます。
唯一残念なのが、スピルの結果をテーブルに入れられない事でしょうか。こちらはコピペで対応しています。
この先もスピルを扱える関数が増えそうなので期待しています。
PowerQuery が便利
GUI でデータを加工する (裏では数式があります) のが PowerQuery です。一例を挙げると、
- msec 間隔で記録された CSV データの平均化、間引き
- 日々追加される Excel ファイルを一括で読み込んで処理
なんて事に PowerQuery を使用しています。フォーマットの変わらない複数の CSV や Excel ファイルに共通の処理を加えたい場合には、PowerQuery を使用すると作業が簡略化できます。
VBA が便利
所謂マクロです。
プログラムの基礎がある人であれば、条件分岐・繰り返し・関数・サブルーチン位は理解できるでしょう。
VBA はそれほど癖のある言語ではありませんので、様々な操作をマクロの記録で VBA で記録させて、それを変更するだけでも便利になります。
- PowerQuery で作った複数のテーブルの自動更新
- 指定範囲の消去
等はマクロの記録から簡単に作る事が出来ます。あとはボタンを付けるなりショートカットを割り当てるなり随意に。
少し勉強が必要ですが、SQL を覚えると Access と連携できます。Access からデータの読み込み (SELECT) & 書き込み (INSERT、UPDATE) を覚えると、重い Excel ファイルと格闘する必要が無くなります。データの保管は Access の方が遥かに効率的です。インデックスを付けておけば、数万レコードからの検索も簡単です。1日で500行、18万行/年のデータであれば楽に処理できます。テスト用に1.5カ月分のデータを Excel で扱っていますが、反応速度が遅くなってきました。Access を裏で動かして、必要なデータのみ読み込むようにすると、Excel 側は軽くなります。
Excel は使い慣れている人が多いので、Access の GUI として使うのも手段の一つではないかと感じています。
まとめ
30分といいつつ、年末の番組を見ながらだらだらと Microsoft Excel について書いてみました。
ホントは Python とか活用できれば良いのですが、今の職場ではそこまでは難しいです。
Microsoft Excel を自在に活用する事は、文系理系問わず、時短と繰り返し業務の間違い防止、余裕が出来た分を他の業務に活用できる、等、必須なスキルだと思います。
特に若い人は、生成 AI を含めた様々な業務の変革に直面すると思います。大量のデータはある、でも活用できない状況を打破する為にも、文房具の延長上にある Microsoft Excel を使いこなす事が、「自分が楽できる」「より生産的な活動に時間を割く」事に繋がると、私は考えています。
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